街に、ルネッサンス UR都市機構

復興の「今」を見に来て!第14回Part2

URPRESS 2018 vol.55 UR都市機構の情報誌 [ユーアールプレス]


復興の「今」を見に来て!第14回Part2 - みんなが集まれる新しい「まちの中心」が始動 岩手県陸前高田市「館の沖橋」の開通式。地元の保育園児と戸羽市長や関係者が渡り初めを行った。この開通で南幹線道路がつながり、国道からのアクセスが便利になった。

陸前高田市
みんなが集まれる新しい「まちの中心」が始動

「7年半のありがとう。そして、ただいま! たかたまち」
9月29、30日、「陸前高田市まちびらきまつり」が開かれた。子どもたちの元気な声が響き、陸前高田市に新しく生まれた中心街の「まちびらき宣言」が行われた。

東日本大震災の地震と津波によって、市内の99・5パーセントの世帯が被災した陸前高田市。市街地整備エリアは被災3県で最大規模の300ヘクタールに及ぶ。URは大規模なかさ上げと高台移転を中心とした復興土地区画整理事業を進め、災害公営住宅の整備、コミュニティー形成のお手伝いなどを通して、陸前高田のまちづくりを支援してきた。

昨年4月には、新しい中心市街地に複合商業施設「アバッセたかた」が完成。7月には同じ建物の中に市立図書館、その隣に「まちなか広場」がオープン。10月には専門店が集まる「まちなかテラス」も開業し、それと前後して、周囲には飲食店や住宅も増え始め、にぎわいが生まれてきた。
「これまでは何かイベントをやろうと思っても、市民の皆さんが集合できる場がなかったんです。ここに来れば何かやっている、そんなまちの中心ができて本当によかった」

こう話すのは、NPO法人陸前高田まちづくり協働センターの種坂奈保子さん。NPOが運営する交流施設「ほんまるの家」はまちなか広場にあり、さまざまなイベントを実施しているが、これからはもっとにぎやかになると期待を寄せる。

戸羽 太陸前高田市長
「長い7年半でしたが、今回のまちびらきで、これからまた頑張ろうというひとつの区切りになりました。次は、今できた箱に、どういう魅力を詰め込むかです。このまちの子どもたちが将来、まちに戻ってこられるような環境を、復興のなかでつくっていく。それがこれからの挑戦です」

まちびらき式典に参加した戸羽市長を囲む、URの栗原 徹岩手震災復興支援本部長(右)、草場優昭所長(左)。
愛知県出身の種坂さんは、震災の年に復興支援で陸前高田に入って以来、このまちが気に入って住み続けている。
新しいまちの誕生ですよ~。にぎやかにいきましょう!

まちびらきまつりでは民謡ステージや講演会、出店があり、最後は写真の「もちまき」も。たくさんの市民が参加した。

交通アクセスを整備 まちが本格始動

9月29日には市の東側と中心街を結ぶ「館の沖橋(たてのおきはし)」完成を祝い、地元の保育園児と関係者らが渡り初めを行った。この事業を担当したUR陸前高田復興支援事務所長の草場優昭は、「7年6カ月で、やっとここまで来た。この橋が開通して、まちの中心部を通る道路がつながり、人の行き来がしやすくなります。これでさらににぎわいが生まれると期待しています」と感慨もひとしおだ。

そして翌30日には、気仙沼 - 盛(さかり)を走るBRT(バス高速輸送システム)のJR陸前高田駅と駅前の交通広場も完成。アバッセたかたでまちびらき記念式典が行われた。

式典には将来の陸前高田を担う地元の小・中・高校生たちも参加。矢作小学校の3~6年生たちは、未来の陸前高田の絵を描いて発表した。そのまちには水族館があり、桜や松の並木があり、大人も子どもも動物たちも、みんな笑顔だ。

高田高校の生徒会執行部のメンバーは、「陸前高田の米やりんごを使って、世界に広がる特産品をつくりたい」「陸前高田を観光地として全国に広めたい」など、地元を盛り上げたいと宣言。

式典に参加した陸前高田商工会副会長の磐井正篤(いわいせいとく)さんは、「よくここまできたなー」と感想をもらした。

「私も毎日、この一角で仕事をしていますが、仲間の店も増えてきて、毎日浮き立つような気分です。図書館や広場に人が集まり、いい感じのまちが生まれそうです」とほっとした表情を浮かべていた。

まちの復興は次のステップへ。みんなの気持ちがあらためてひとつになっている。

アバッセたかたを中心に、商店や飲食店、住宅も増えてきた。
伊東豊雄氏設計の建物を宇都宮から移築し、交流施設「ほんまるの家」として活用。
アバッセたかたのある中心市街地の目の前に、BRTの陸前高田駅の駅舎と交通広場も完成した。
まちびらき宣言のあと、市長をはじめ関係者によるテープカット。
矢作小学校の3~6年生が描いた「未来の陸前高田」。

【武田ちよこ=文、青木登=撮影】

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