街に、ルネッサンス UR都市機構

プロが指南!防災グッズの新常識(5)

URPRESS 2018 vol.54 UR都市機構の情報誌 [ユーアールプレス]

高齢者世帯の防災対策
「避難所へ行かない準備」が重要!

入れ歯なしで食べられる柔らかい食事、避難所での肺炎を防止する口腔ケアグッズなど、高齢者向けに様々な防災グッズが販売されています。しかし、防災対策でまず重要なことは、災害から命を守ること。水や食料があっても、避難ができずに命を落としてしまえば無駄になりますし、逆に建物と室内が無事であれば、家にある物で生活を維持することができます。
高齢者は個々人で生活環境や体力に大きな差があります。「高齢者の防災」とひとくくりにせず、「自分の場合は?」と考えて、「何を準備すれば命を守れるか」を基準に準備することが重要です。

1.室内の安全対策

最も大切なのは室内の安全対策。高齢者は家にいる時間が長く、かつ物が多い傾向にありますので、寝室やリビングなど長くいる部屋から順番に、背の高い棚や重量のある家電などを固定しましょう。水や食品など重量のあるものを戸棚の下へ移動するだけでも効果的ですし、粘着式の固定グッズを使えば、壁を傷つけずに安全確保ができます。

2.避難の準備

大地震による津波や大火災、大雨による浸水や土砂災害など、その場にとどまると生命に危険が及ぶ場合は、速やかに避難します。走って移動することが困難な方は、「避難勧告・避難指示」の前の「避難準備・高齢者等避難開始」が発表された段階で移動を開始。持ち出す物をまとめておくことも大切です。

3.被災生活の準備

2011年の東日本大震災では、3,600名を超える方が「震災関連死」で命を落としています(執筆時点)。ほとんどが高齢者で、原因の多くは避難所生活の疲労やストレス。震災関連死を防ぐには、避難所へ行かずにすむ方法を考えることも重要で、そのためには非常用トイレの備蓄が大切です。建物が無事で、トイレが使えれば、避難所へ行かなくても生活できます。水や食料の備蓄とあわせ、まずトイレ備蓄を行いましょう。

プロフィール

たかにともや

「備え・防災は日本のライフスタイル」をテーマに、自身が運営するWebサイト、各種メディアやセミナーを通じて防災を解説するフリーのアドバイザー。

【高荷 智也(ソナエルワークス代表)=文・写真】

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