街に、ルネッサンス UR都市機構

URのまちづくり最前線 第1回

URPRESS 2016 vol.46 UR都市機構の情報誌 [ユーアールプレス]

三鷹中央防災公園・元気創造プラザ整備事業
防災公園+防災拠点が一体化した新しい施設をつくる

現在、東京都三鷹市とUR都市機構が進めている「三鷹中央防災公園・元気創造プラザ整備事業」は、市役所の隣に防災公園と市の新施設を同時につくる画期的な事業だ。
約2ヘクタールの敷地に、災害時には約7500人が一時避難でき、かまどベンチなど災害時に活用できる施設をもった防災公園と、災害時に災害対策拠点となる市の新施設「元気創造プラザ」。これが市役所のすぐ隣に完成する。(2016年4月撮影) ©石黒写真研究所

マイクロバスから降りてきたのは、大学や大学院で建築や都市計画などを学ぶ学生たち。「三鷹中央防災公園・元気創造プラザ整備事業」の現地見学会に参加するメンバーだ。

現場はJR三鷹駅から約2キロ離れた三鷹市役所と隣接した場所。約2ヘクタールの土地に、公園と地上5階地下2階建ての建物「元気創造プラザ」の整備が進んでいる。今日は工事が完了した建物を中心に見学することになっている。

市の複数の課題を同時に解決する

ここにあった青果市場が平成19(2007)年に移転するのを機に、三鷹市ではこの跡地利用の検討が始まった。このとき三鷹市は複数の課題解決を目指した。まず、災害時に市民を守る防災機能を維持・向上させること。そして老朽化した体育館や福祉会館などの市の公共施設を建て替え、機能を更新することだ。

実は三鷹市とUR都市機構は、前身の日本住宅公団の時代から、市内にある団地の建設や建て替え事業を通じて長い付き合いがある。良好な関係は続き、平成21年にはUR都市機構として初めて「まちづくりに関する包括協定」を三鷹市と締結した。
「さまざまな事業手法の検討を重ねたなかで、『防災公園街区整備事業』という手法を使って、市場跡地に防災公園と、市の新しい多機能複合施設をセットでつくるプランを提案しました」

こう説明するのはUR都市機構東日本都市再生本部 事業推進部多摩エリア計画チーム チームリーダー稲本貴司。この事業は、主に大都市地域等の防災機能の強化を図ることが目的で、市街地整備と防災公園整備を一体的に行うまちづくり事業。UR都市機構ではこれまでもこの事業を行ってきた経験があり、今回、三鷹市でもこの方法が最適だと判断した。

その進め方はこうだ。まずUR都市機構が三鷹市に代わって用地を取得して防災公園を整備するとともに、敷地内に新しい施設を建設した後に、三鷹市に引き渡す。UR都市機構の強みは、事業用地の取得から、公園や建物の設計・施工までトータルで実施できる点。UR都市機構が三鷹市の代理人とでもいうべき立場で事業を行うことで、市は人的な負担も軽減できる。

三鷹市ではこの事業を決定すると、すぐに市民に情報を開示して、市民の意見を積極的に汲み取っていった。例えば新しい施設の機能はどういうものがよいか、市民検討委員会を立ち上げて意見を聞いて、計画に反映させるとともに、常に情報発信を続けている。

地上5階地下2階建ての「元気創造プラザ」。この建物と地下の総合スポーツセンターは省エネルギーにも配慮しており、隣接地にあるごみ処理施設で発生する熱エネルギーで発電した電力を供給。ビルエネルギー管理システム(BEMS)を導入して、空調や照明などを効率的に運用する。
各フロアの壁に、平常時と災害時それぞれの機能を表示して市民への徹底を図る。

2つの機能を表示 地下の施設も新鮮

UR職員の案内で、学生たちと一緒に出来上がったばかりの新施設「元気創造プラザ」に入った。この複合施設の最大の特徴は、平常時と災害時とで機能が転換するところにある。それぞれの役割が、はっきりと決められているのだ。

例えば最上階の5階は、普段は総合防災センターと生涯学習センターだが、災害時には災害対策本部、消防団指揮本部などになる。3階の福祉センターは、災害ボランティアセンター本部に変わるという具合で、そのことが壁などにはっきりと表示されている。
「こうやって壁に両方の機能が書いてあると、ここに来た市民はその都度これを見て理解を深める。すばらしいアイデアだと思います」と学生のひとりが感想をもらす。

今回のプランで一番目を引くのは、防災公園の地下に総合スポーツセンターがつくられたところだろう。地下とはいってもドライエリアを設けてあるので上部から外光が入り、圧迫感がない。
「既成市街地内の限られた貴重な土地をうまく活用するため、防災公園の地下にスポーツ施設をつくるというアイデアが生まれました」と説明する稲本。計画当初、「市役所内にこの事業の模型やパネルを展示したところ、市民の皆さんから『早くできてほしい』『今までにない施設、完成が楽しみ』といった声が寄せられました」と、手応えを感じていた。

三鷹市とUR都市機構がお互いの得意な分野で役割を分担し、意思疎通を図りながら進めてきた本事業。見学した学生からも、できあがりを早く見たいという声が相次いだ。市民待望のオープンは、来年4月の予定だ。

地下1階のメインアリーナに立つ稲本貴司。
「三鷹市と恊働し、市民の声を適切に事業に反映させることを大切にしています」
この日の見学会には、建築や都市緑化、都市計画などを学ぶ学生たちが参加。
「ネットで見るだけではわからない。現場が見られて勉強になった」「経済性も考えられているし、市民の意見も反映されている」など関心の高さがうかがわれた。

UR都市機構は強力なパートナー

三鷹市長 清原慶子 さん


UR都市機構と三鷹市は、まちづくりの目標を共有するパートナーです。市民の皆さんが安全で安心に暮らせるまちをつくる、訪れた人にも居心地のよいまちをつくる、こうした目標を実現するために、全国で実績を積んでいる専門家集団であるUR都市機構は、大変心強いパートナーです。

特に市役所のすぐお隣に、防災公園と、災害時に災害対策拠点となる市の施設をつくることができることを、本当に心強く思っています。この事業に取り組んだのは東日本大震災が起こる前のことでしたが、意思決定して本当によかったと思っています。

防災公園と防災拠点が一体化した新しい施設の整備は全国の自治体からも注目されており、見学に来られる方もいらっしゃいます。市では情報をオープンにして、役立てていただくように努めています。

【武田ちよこ=文、佐藤慎吾=撮影】

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