街に、ルネッサンス UR都市機構

復興の「今」を見に来て!第3回 Part1

URPRESS 2014 vol.40 UR都市機構の情報誌 [ユーアールプレス]

復興の「今」を見に来て! 第3回 人が集い、笑顔で触れ合う南三陸さんさん商店街

海と山に囲まれた南三陸は水産漁業や農業で栄えてきた自然豊かなまち。
東日本大震災で町内の6割以上の建物が流失したが、失意のなかで地元商店主たちが作り上げた仮設商店街が今、東北一元気な商店街になっている。

東北で一番元気な仮設商店街として評判なのは、南三陸さんさん商店街(南三陸志津川福興名店街)。飲食店に地元物産品を扱う店、そして生活用品店など多様な33の店舗が軒を連ねる南三陸町の買い物の拠点だ。

誕生のきっかけは、東日本大震災から1カ月半後に開催された「南三陸町福興市」。災害時に支援し合う全国組織「ぼうさい朝市ネットワーク」の協力のもとに行われたその福興市には、2日間で1万5千人が集まり、避難中の人々が再会を喜び合う姿があちこちで見られたという。
「その時、お店というのは単に買い物の場ではなく、触れ合いの場、癒しの場にもなっているんだと気づきまして」と南三陸志津川福興名店街運営組合組合長の阿部忠彦さんは振り返る。

南三陸さんさん商店街まち並みを失ったから、まち並みを模した戸建ての商店形式にこだわったという南三陸さんさん商店街。2月には3周年記念イベントも予定されている。

南三陸さんさん商店街

TEL:090-7073-9563(代)
南三陸町志津川字御前下59の1

「阿部茶舗」の店主であり、商店街の組合長を務める阿部忠彦さん。

地元の人たちのふれあいの場を

その後、店の再開を望む地元の人たちの声を受けて、立ち上がった商店主たち。議論を重ねて「福興名店街」を組織化し、「地元住民のコミュニティー維持と再生の場」としての「南三陸さんさん商店街」をつくり上げた。

2012年2月にオープンして予想外だったのは、地元客以外にもボランティアや被災地視察の関係者など多くの人が来店してくれたことだと阿部さんは語る。

2階建ての集合建物ではなく、各店が横に並び、フードコートのあるパティオ形式にしたのが、結果として大成功。人々が商店街を回遊し、週末になるとフードコートや特設ステージでさまざまな企画・イベントが開催され、にぎわっているのだ。

自慢のご当地グルメ南三陸キラキラ丼

南三陸さんさん商店街の一軒「創菜旬魚はしもと」で、ご当地グルメ「南三陸キラキラ丼」を注文した。運ばれて来たとたん、思わず声を上げてしまった。なんてきれいで贅沢な一品なのだろう。自家製醤油ダレに漬け込んだという、たっぷりの南三陸産のイクラが、サーモンとともに美しく盛られている。さらにサケの竜田揚げやメカブの酢の物と味噌汁、漬物までついている。

地元の旬の恵みをふんだんに盛り込んだキラキラ丼は、現在町内の10店ほどで提供。各店で創意工夫し、冬場の「いくら丼」だけでなく、「春つげ丼」「うに丼」「秋旨丼」と季節ごとに異なる味わいを楽しめるのも魅力だ。昨年開催された「第1回全国丼グランプリ」の「ご当地丼部門」では、静江館 山内鮮魚店のキラキラいくら丼が見事金賞を受賞した。

「南三陸では天然のタコやウニ、アワビが捕れますし、ワカメやカキ、ホタテ、ギンザケなどの養殖も盛んで食材が豊富です。とれたての新鮮な食材は濃厚な旨みがあるので、季節ごとのキラキラ丼をぜひ味わっていただきたい」と語る「創菜旬魚はしもと」の店主・及川満さんは、震災前は地元ホテルで腕をふるっていた料理人。
「自分の店をもつのが長年の夢だったんですが、震災で家も目標も失って。そんな時に、さんさん商店街に店を出すことができ、お客さまも来てくれて、本当にありがたいです」

近隣には大人数を受け入れられる食事処がないため、団体客の食事を商店街の飲食店で手分けして用意し、フードコートで提供することもあるという。それが可能なのも商店街として集まっていればこそ。商店街ができたことで、周囲にお店や施設も集まってきた。南三陸さんさん商店街は町の復興の象徴であり、今や観光でも外せないスポットになっている。

【妹尾和子=文、平野光良=撮影】

モアイ像
1960年のチリ地震津波をきっかけにチリ共和国と友好関係を深めてきた南三陸町。南三陸さんさん商店街の隣りには、「悲しみを癒し、復興を見守る存在になること」を願って、チリ・イースター島から贈られた高さ3mのモアイ像が立っている。眼が入ったモアイ像は世界でも珍しく、眼を入れることでマナ(霊力)が宿るといわれている。
南三陸キラキラ丼
これが名物「南三陸キラキラ丼」。写真は「創菜旬魚はしもと」のいくら丼。
創菜旬魚はしもと
TEL:0226-29-6343

南三陸復興まちづくり情報センター

南三陸復興まちづくり情報センターの阿部由香さん

南三陸さんさん商店街の東門の近くに昨年オープンした「南三陸復興まちづくり情報センター」。
「模型やパネルで、工事の進捗状況や復興後のまちの様子をわかりやすく紹介していますので、ぜひいらしてください」と同情報センターの阿部由香さん。
(開)10~16時 (休)日・月曜日

南三陸へ

宮城県の北東部に位置する南三陸町は、東は太平洋に面し、周囲三方を山に囲まれている。リアス式海岸が広がる景観美とともに、その豊かな海からの恵みの幸も魅力。
アクセスは仙台から約90km。仙台駅前から高速バスが運行(所要約2時間)。また、柳津⇔南三陸町⇔気仙沼をJR気仙沼線BRT(バス高速輸送システム)が運行している。

観光ガイド

南三陸さんさん商店街に隣接する「南三陸ポータルセンター(南三陸町観光協会)」では、宿泊や漁業、レジャー体験などの観光情報を発信。マウンテンバイクや電動自転車のレンタル(有料)も行っている。

南三陸の観光・物産などの問合せ

南三陸町観光協会
TEL:0226-47-2550

南三陸へ

動画

復興の「今」を見に来て! 第3回 人が集い、笑顔で触れ合う南三陸さんさん商店街
宮城県南三陸町

UR PRESS Vol.40 宮城県南三陸さんさん商店街

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