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365日、本に囲まれながら人とつながる暮らし。シェアハウス「読む団地」を“場づくり”の専門家が訪問

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東京都足立区の大谷田一丁目団地に、2020年3月、「本から始まる、ご近所づきあい」をテーマにしたユニークなシェアハウスがオープンしました。その名も、「読む団地」ジェイヴェルデ大谷田(ジェイヴェルデおおやた)。今回は、日常を豊かにする“場”をつくり出す“場づくり”の支援活動を行っている、NPO法人れんげ舎・代表理事の長田英史さんと一緒にこの場所を訪ねました。

さまざまな本の楽しみ方ができるシェアハウス

「読む団地」ジェイヴェルデ大谷田(以下:「読む団地」)があるのは、大谷田一丁目団地7号棟1階。運営を手掛ける日本総合住生活株式会社(略称「JS」)が、団地のワンフロアをまるごとリノベーション。本を通して、入居者同士や、地域とつながることができる工夫を凝らしたシェアハウスに生まれ変わりました。
中をのぞいてみましょう。

【ブック リビングダイニング】
共用スペースである「ブック リビングダイニング」には、大きな本棚に約1000冊の本が壁一面に並びます。1冊選んで、中庭を臨むカウンター席でその本を読みふけったり、ご飯を食べながらおしゃべりしたり、ソファやハンモックでくつろいだり。一人でもみんなとでも、心地よく自由な時間を過ごせるスペースです。
【マイブック図書館】
廊下にいくつも設けられた本棚は、入居者が自分でセレクトした本を並べられる「マイブック図書館」。書店主の気分でおすすめの本を選ぶ、ディスプレイにこだわる、ほかの入居者の本棚を見て回る、などの楽しみも。気になる本をきっかけに、ほかの入居者との会話も弾みそうです。
【コミュニティ ラウンジ「BOOKMARK」】
カフェのような雰囲気のコミュニティラウンジは、地域の人との交流や、来客時にも使えるスペース。大きな鍋やオーブンも備えたキッチン付きで、ごちそうをみんなで作って、味わう料理イベントなども開けます。
【部屋】
シンプルな一人用から、ウオークインクローゼット付きの二人でも入居できる広々ルームまで、全3タイプ。飽きのこないデザインの室内には、いずれのタイプにも、ベッドや冷蔵庫、テーブル、いすが備わっていて、手軽に暮らし始められます。
また、共用エリアにあるバス・トイレの空き状況を、備え付けの専用タブレットで確認でき、暮らしやすさへの配慮もなされています。

「何かやりたい」をかなえ、育てていける可能性がいっぱい!

さまざまな“場づくり”のサポートを行ってきた長田さんに、「読む団地」の感想をうかがいました。

「ここで暮らす人たちが、“自分たちの場”として活用していけるように考えられていますね。共用スペースは、いすや机など動かせるものが多いので、パーティション一つで空間を変えられますし、マイブック図書館には、本だけでなくポストカードなど自分の好きな物を飾る人も出てきそう。入居者によって、心地よく変えていきながら住める場だと思いました。」

「読む団地」には、“場づくり”への関わり方の自由度もあると、長田さんは続けます。

「コミュニティラウンジやマイブック図書館を使って、いろんなことができるけれど、強制ではなく、やらなくても良いという、優しさのようなものを感じました。何かをやるというのは、自分を出すということでもあります。入居者自身が、どれくらい自分を出していくかを考えながら暮らすことができるのは、良いことですね。」

そのように自分を出す上で、本はさまざまな役割を果たしてくれるそうです。

人間の中にある“自分らしさ”は一つではなく、“他者と関わることで出せるその人らしさ”もあります。例えば、知人が選んだおすすめの1冊が、普段のその人のイメージとは異なり、本の縁で人間関係が深まることもあるでしょう。
また、初対面や顔見知り程度の人とも、『おすすめのその本って、どんな内容なんですか?』といった本が間にあるやりとりなら、程よい距離を置きつつ楽しく会話できます。そういった意味でも、ここの『本』という仕組みは、とても良いですね。」

ご近所との交流を楽しみ、「これからの住まい方」ができる場所

「読む団地」では、団地にお住まいの方々や地域との交流にも力を入れていくそうです。JS住生活事業本部の石垣曜子さんが、今後の計画を教えてくれました。

多様な世代がつながる『ミクストコミュニティ』の形成や、地域の絆づくりに向けたイベントやワークショップも行っていく予定です。例えば、足立区のシニア向けの施設で開催されている料理会を、『読む団地』のコミュニティラウンジで行い、 シェアハウスの入居者さんも参加させてもらったり、地域のイベントに『読む団地』として入居者さんが出店したり…。シェアハウスは住む場所ですが、地域の方たちと関われる機会をつくっていきたいです。」(石垣さん)

この話を聞いた長田さん。
「“住む”とはずっと、個人・家族単位で中に閉じこもることでした。住み方が多様化していく中、このシェアハウスは、住むことそのものの在り方を提案し直す、先駆的な住み方形態の一つになっていくと思います。」

また、“場づくり”の観点から“場”の豊かさについて、こう語ってくれました。
「豊かさには、建物や設備などのハード面もありますが、重要なのはソフト面です。ここの場合、入居者発で何かが始まり、その人たちなりに楽しみ、それが地域にも伝わっていくことが日常として育っていくと、本当に豊かな“場”になると思います。これから入居者さんたちがどんなことを企画していくのか、すごく興味深いです!」

記事のまとめ

「読む団地」は、本をきっかけにさまざまな交流や暮らしを楽しめる団地内シェアハウス

  • ・「読む団地」ジェイヴェルデ大谷田は、大谷田一丁目団地のワンフロアをリノベーションして誕生。大きな本棚があるリビングルーム、入居者が自分でセレクトした本を並べられる本棚など、本をテーマにした造りになっている
  • ・今後は、地域に向けたイベントやワークショップも行っていく予定
  • ・URでは、多様な世代が一緒に生き生きと暮らし続けられる、住まい・まちづくり「ミクストコミュニティ」に取り組んでいる

今回の先生:長田 英史さん

NPO法人れんげ舎代表理事。合同会社ファロルモ代表。1993年和光大学経済学部経営学科卒業後、同大学人文学専攻科教育学専攻に進学。教育学、心理学、身体論などを学ぶ。在学中より、町田の市民活動に学生ボランティアとして参加。1996年れんげ舎を設立。2002年にNPO法人化し、子どもの居場所づくり、カフェ経営など幅広い活動を展開。2010年より活動経験をコンテンツ化し、“場づくり”支援を本格化。全国での講演活動のほか、組織コンサルとしても活躍している。著書に『場づくりの教科書』(芸術新聞社)がある。

HP:http://bzkr.io/

長田 英史さん 写真
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