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夜空に突如現れた“太陽”。この謎の物体って、なに?

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夜の空に昇るのは、“月”が当たり前? いいえ、茨城県取手市の取手井野団地には、“太陽”がぽっかり浮かび上がる、ちょっと不思議な晩があります。実はこれ、春と秋の年2回、1泊2日限定で団地内にオープンする「サンセルフホテル」が生み出すとっても特別な風景。今回で第8回を迎えるファンタジックなこのアートイベントを訪ねました。

団地ならではの手作りホテル

「夜の太陽、すっごくキレイだよ!」 祭りの準備が着々と進む会場で声を掛けてくれたのは、小学2年生のホテルマンでした。子どもなのにホテルマン!? そう、「サンセルフホテル」は奇想天外なホテル。1歳から80歳までのホテルマンは、団地や近隣の住民。客室はなんと、団地の空き部屋なんです。
型破りなのは、それだけではありません。客室のアレンジからお食事、特別な一組のお客さんのために楽しいひとときをお届けするルームサービスまで、全てホテルマンたちの手作り。彼らがアイデアを出し合い、特技を発揮します。年齢も仕事も経験もさまざまな人が集う団地だからこその、個性あふれるサービスが自慢です。
さらに電力までもが自前! 日中、ソーラーワゴンを押しながらお客さんと団地内を散策し、集めた太陽の光で発電。その電力で客室と、“夜の太陽”に明かりをともします。あいにく小雨が降っていた今日は、ホテルマンが事前にコツコツためた取手井野団地産の電力を使うそうですが、太陽は無事に輝くのでしょうか?

  • ホテルマンの扮装をしたお客さんとソーラーワゴン(中央)を囲む、サンセルフホテルのホテルマンたち
  • 観光地さながらの記念撮影パネルも手作り

チーム一丸となって太陽バルーンを大空へ

夕暮れ前、会場の広場中央に“夜の太陽”になるバルーンが現れました。ホテルマン男性陣チーム「太陽部」がヘリウムガスを吹き込むと、バルーンが膨らみ始めます。慎重に加減を見ながらガスを充填。直径2メートル50センチにもなるという、真ん丸な太陽が仕上がりました。
数人掛かりで地上に押しとどめていた手を放すと、太陽はゆっくり上空へとこぎだします。風にあおられ上下左右にゆらゆら泳ぎ回る太陽。太陽部の面々が、バルーンに据えられたロープを巧みに操り、位置を定めていきます。細かい調整を何度も行い、ようやく準備完了。あとは太陽が光を授かる“その時”を待つばかりです!

見物客のおもてなしに、子どもホテルマンが大活躍!

空が夜の闇に包まれると、団地の広場に続々と人が集まってきました。サンセルフホテルがオープンする一夜に行われる「夜の太陽まつり」は、取手井野団地の風物詩となっています。
来場者の皆さんをもてなすのは、手慣れた手つきでフリードリンクをふるまう子どもホテルマンたち。「ハイビスカス&パインティーはいかが~?」「ゆず茶もどうぞ~!」と、元気いっぱいの声が会場にこだまし、刻一刻と迫る開演までの時間を盛り上げます。

“太陽”と共に心に刻まれる、特別な夜の思い出

いよいよ、祭りがスタート。お待ちかね、“夜の太陽”点灯式です。「たいようスイッチ」を押すホテルのお客さんであるお二人も、スタンバイOK。「10、9、8…」と、子どもも大人も声を合わせてのカウントダウンが始まると、会場の熱気はピークに! そしてついに太陽に温かな光がともり、大歓声が巻き起こりました。幻想的な“夜の太陽”の下、ステージでは地元合唱団による合唱。続いて、子どもホテルマンたちが描き下ろした紙芝居が披露されました。
「太陽の冒険」と題された紙芝居のストーリーは、これまで「サンセルフホテル」で実際に起きた出来事がモチーフなのだそうです。というのも、ホテルの活動は今回で閉幕。だからこそ、この4年間を振り返る物語と、今夜の太陽の美しさは、会場に居る一人一人の胸の奥深くに響いているようでした。この団地のユニークな活動は、これで完結ではありません。世代を超えて人々が心通わせ合う“取手井野団地ストーリー”は、まだまだ続きます!

取手井野(UR賃貸住宅)

茨城県取手市井野団地
利根川河川敷に程近い、豊かな自然と暮らしやすさが共存する団地。春には敷地内の桜並木でお花見を満喫でき、子ども用プールやクリニックも完備。また、住民がアート活動に積極的で、団地内のコミュニティカフェではお茶を飲みながらアートもたっぷり楽しめます。

取手アートプロジェクト(TAP = Toride Art Project)

1999年より市民と取手市、東京芸術大学の三者が共同でおこなっているアートプロジェクトです。若いアーティストたちの創作発表活動を支援し、市民のみなさんに広く芸術とふれあう機会を提供することで、取手が文化都市として発展していくことをめざします。
HP:http://www.toride-ap.gr.jp/

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