復興支援だより 宮城・福島震災復興支援本部から

東日本大震災の復興支援について現地の姿をお伝えします。

2015年08月

2015/08/31

塩竈(しおがま)市桂(かつら)島でUR職員のボランティアによる海水浴場再生の取り組み

URは、日本三景で有名な松島湾に浮かぶ有人島のひとつである塩竈市桂島で災害公営住宅の整備に取り組んでいます。
桂島は、外周約7㎞の小さな島で、漁業を主産業とし、栄養豊富な湾内で養殖される海苔や牡蠣は味がよいことで有名です。
また、島には海水浴場やハイキングコースがあり、本土から観光客が多く訪れる島のひとつでもあります。

地図使用承認c昭文社第56G107号

<地図使用承認c昭文社第56G107号>

2011年3月11日に発生した東日本大震災では、桂島を含む浦戸(うらと)諸島は約8メートルの津波に襲われました。
桂島では約60戸の建物や漁業設備が破壊され、海水浴場はガレキが散乱する悲惨な状況となりました。

被災直後の桂島の様子。桂島区長提供

<被災直後の桂島の様子。桂島区長提供>

海水浴場近くのねじ曲がった鉄製の手すり。津波の威力をうかがい知ることができる

<海水浴場近くのねじ曲がった鉄製の手すり。津波の威力をうかがい知ることができる>

島では、震災前から過疎化は進んでいましたが、震災により漁船を失ったり、通院が必要となったりするなどの生活の理由から過疎化が更に進みました。
島の人口は震災前の約230人から約60人減少し、人口の半分以上が65歳超となり、将来にわたって地元コミュニティを維持・存続していけるのかが課題となりました。

そこで、地元自治会では過疎化を防ぎ、定住人口を増やすため、島民の生業サイクルの復活として観光振興を通じた交流人口の増加へ取り組んでいます。
そのひとつとして、夏場の漁閑期の収入源である民宿や海の家に寄与するため、海水浴場の再生に取り組んでいます。

島で災害公営住宅を整備するURとしても、整備した住宅を島民の方々に末永く利用してもらうためには過疎化は大きな問題と捉え、 海水浴場再生の取り組みに賛同し、UR職員らのボランティアによる取り組みとして、 海岸清掃、ブイ・プランター及び道標等の設置、海の家の立ち上げ支援を実施しました。

「海岸清掃」
砂浜に打ち上げられるゴミは、海藻の他にガラス片や釘など多様で、鋼製熊手で砂を掻き、それらを取り除いていきました。
海開きまでの間に3回の海岸清掃を実施し、遊泳可能範囲が昨年は幅100mだったところ、今年は150mまで拡大することができました。
海岸清掃には、数十人のUR職員が参加し、その他に地元の方々や、被災直後から桂島の支援をしてきた山形大学の学生らにも協力いただきました。

海岸清掃前の砂浜。プラスチック容器や海藻が散乱している

<海岸清掃前の砂浜。プラスチック容器や海藻が散乱している>

熊手でゴミを取り除く様子。足腰に大きな負担がかかる

<熊手でゴミを取り除く様子。足腰に大きな負担がかかる>

清掃の結果、海岸からはゴミはほとんど取り除かれた

<清掃の結果、海岸からはゴミはほとんど取り除かれた>

「ブイ・プランター及び道標等の設置」
島は、海水浴場側から津波被害を受け多くの住宅が流されたため、海水浴場周辺は荒野となり雑草が生い茂っている状態です。
そのような海水浴場へ訪れる方々の気分を少しでも盛り上げようと、船着き場から海水浴場へ至る道に養殖で使用するブイを再利用したプランターと海水浴場への道標を設置しました。
このブイ・プランターは、島の方々から不要になったブイを頂戴し、URが企画した加工・下地塗り・ペイントの3回のワークショップにおいて、 災害公営住宅の入居者、山形大生、浦戸小中学校の生徒の皆さんと一緒に計20個を制作しました。

海水浴場周辺の様子。草が伸び放題

<海水浴場周辺の様子。草が伸び放題>

浦戸小中学校の生徒らには、最後のペイントの作業を手伝ってもらった

<浦戸小中学校の生徒らには、最後のペイントの作業を手伝ってもらった>

花を植えられたブイ・プランターと道標が海水浴客を浜辺へ導く

<花を植えられたブイ・プランターと道標が海水浴客を浜辺へ導く>

「海の家の立ち上げ支援」
桂島海水浴場は、震災後、一昨年まで営業を停止していました。 昨年から営業を再開しましたが、海の家が1店舗しかなく、海水浴客への需要に応えきれなかったことから、今年はもう一軒増やしたいとの要望が地元にありました。
そこでURは海の家の立ち上げ支援として、地元自治会と山形大学の共同運営という運営スキームの構築や提供メニューの検討等を実施しました。

運営を担うのは地元の方々と、山形大の学生たち

<運営を担うのは地元の方々と、山形大の学生たち>

地元で採れたワカメを使ったラーメン

<地元で採れたワカメを使ったラーメン>

桂島海水浴場には7月17日の海開きから8月16日の営業終了までの間に、約8,600人の海水浴客が訪れ、海の家も盛況となりました。
前年の来場客数約5,000人を大幅に更新したのは、天候に恵まれたこともありますが、URの取り組みも貢献したのではないでしょうか。

海水浴客でにぎわう桂島海水浴場

<海水浴客でにぎわう桂島海水浴場>

URは今後も塩竈市浦戸諸島の復興に向けて取り組んで参ります。