ストックの長期利活用に向けて

建築物の躯体改修・耐震性能の向上
Renovation Technologies

躯体改修技術に関する研究

既存の賃貸住宅を有効に活用するために、耐震性を確保しつつ、今後の住宅に要求される性能を有する躯体(建物の骨組み)の改修技術に関する研究を行っています。
その一例として、既存建築物に床を増設する改修工事における躯体の接続方法を開発するための性能試験や設計・施工方法に関する研究を、他の研究機関や企業と共同で行っています。


耐震性能の向上に関する研究

三次元振動実験台を利用して、阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)や東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)などの地震波を再現し、耐震性能向上に関する研究を行っています。
また、全国の超高層UR賃貸住宅等に設置した地震計から得られた地震観測記録を、耐震性能の向上に関する研究に活用しています。

梁せいの低減に関する実験

梁せいの低減に関する実験


躯体接合方法の実験

躯体接合方法の実験

三次元振動実験台による実験

三次元振動実験台による実験


建築物の基本性能向上に関する技術
Renovation Technologies

UR賃貸住宅は、定期的に計画的な修繕を行っていますが、築年数の古い住宅では設備等の交換が容易ではなかったり、これまでとは違う新たな修繕技術が求められるケースも多くあります。また、年代の古い集合住宅には、現在の住宅に比べて必ずしも十分な居住性能が確保できていないものもあります。
技術・コスト管理部では、賃貸住宅を管理・運営する部門等と連携し、既存住宅の調査や、新たな修繕技術の導入、基本性能の向上に関する研究を行っています。
既存排水管の更生技術

既存排水管の更生技術

(更生前)

(更生前)

床遮音性能の試験

床遮音性能の試験


KSIとオープンビルディングに関する技術開発
Kikou Skeleton and Infill Housing

SI住宅とは、建物を長期に安定して支える骨格であるスケルトン(S)と、生活や社会の変化に対応できる空間構成材であるインフィル(I)に分離できる住宅を意味します。
この概念は1970年代にオランダのハブラーケン教授が提唱したオープンビルディングに始まります。
この概念を当時の日本住宅公団が具現化したものが、KEP(Kodan Experiment housing project)となります。その後、90年代に入ると環境により配慮した取り組みが求められ、SI住宅の可能性も一層高いものが求められるようになり、新たな開発プロジェクトとして生まれたのがKSI住宅(機構型SI住宅)です。
KSI住宅普及のための建設費のローコスト化やインフィルのリニューアル時の課題検討など、更なる実用化に向けた研究を行っています。

KSIを支える技術Ⅰ<排水ヘッダ方式>

排水立て管を共用部に設置し、各器具からの器具排水管を緩こう配(1/100)で共用部まで引き出し、雑排水については“排水ヘッダ”に接続します。排水ヘッダには、共用部からの管清掃や詰まりの除去等のメンテナンスができる掃除口が設けられています。この排水ヘッダ方式を用いると、これまでの排水こう配を緩和できるため、住戸内の間取りの自由度が高まります。

KSIを支える技術Ⅱ<テープケーブル工法>

電気配線を躯体から分離する天井配線工法のひとつで、厚さ1mmに満たないフラットなケーブルを天井のコンクリート面に直接貼りつけ、クロスで仕上げを行います。躯体への打ち込み配管が不要で、配線が目立たないので、照明器具などの位置変更、増設も可能となり、階高を有効に利用できます。

排水ヘッダ

排水ヘッダ

テープケーブルの施工

テープケーブルの施工

KSI住宅の内観

KSI住宅の内観


ルネッサンス計画
Renaissance Project

これまでは、既存住棟の建替えを中心としたUR賃貸住宅の再生を行ってきましたが、現在では「持続可能なまちづくり」という観点から、既存の住宅をできるだけ長期間活用することが求められるようになってきています。一方で、昭和30年代、40年代に建設された住棟の多くはバリアフリー化への対応が困難であったり、階高が低い、住戸面積が狭いなど、現在のUR賃貸住宅の水準と比べると必ずしも十分なものとはいえません。UR都市機構では、これらの既存住棟を有効に活用するための実験的な試みを「ルネッサンス計画」として位置づけ、ハード、ソフト両面での再生手法の確立に取り組んでいます。


ルネッサンス計画の構成

ルネッサンス計画1

ルネッサンス計画1「住棟単位での改修技術の開発」は、階段室型住棟のバリアフリー化や、現代の生活にふさわしい内装・設備への改修、景観にも配慮したファサードの形成等に関する改修技術の開発を、解体予定の住棟を活用した実証試験として実施したものです。
(実施団地:ひばりが丘団地、向ヶ丘第一団地)


ルネッサンス計画2

ルネッサンス計画2「住棟ルネッサンス事業」は、ルネッサンス計画1の技術的成果を踏まえ、民間の創意工夫を活かした新たな活用・改修方法を社会実験的に事業化したものです。
(実施団地:多摩平の森)


このように、ルネッサンス計画1は改修技術開発というハード面での再生手法を、ルネッサンス計画2は住棟の新たな活用方法というソフト面での再生手法を検討しているものであり、この両面での実証的検討によって、既存住棟の再生手法を確立することを目指しています。


くわしくはこちらをご覧ください。
ルネッサンス計画1:http://www.ur-net.go.jp/rd/rn1/

ひばりが丘団地(試験後)

ひばりが丘団地(試験後)


ひばりが丘団地(試験前)

ひばりが丘団地(試験前)

住戸内観(試験後)

住戸内観(試験後)


ルネッサンス計画1 技術開発のイメージ