街に、ルネッサンス UR都市機構

団地には「子どもの笑顔」が一番 男山団地

URPRESS 2014 vol.42 UR都市機構の情報誌 [ユーアールプレス]

2.男山団地 京都府
団地に生まれたスケボーショップに笑い声が響く

40年以上営んできた店舗を存続させたい。そんな店主の気持ちに若者が応えた。
京都府八幡市にある男山団地の商店街に「スケートボード」ショップが仲間入りした。

「まりも」と「スクラーチ」の前に全員集合。自慢のスケートボードを手にすると自然と笑顔になる。後列左が笠井孝至さん。

通りすがりの老夫婦には、子どもたちの笑う声が聞こえたのだろうか、ショップの中を覗きながら歩き去っていった。京都府八幡市にある男山団地の竹園商店街。子どもたちの笑い声は、「まりも」という学生服や衣料品を扱う店舗の中にある「SCLARCH(スクラーチ)」というショップから聞こえてきていた。

「学生の頃に知人を介して“まりも”の前社長を紹介してもらいました。このお店の後継者を探していたようなんです」
そう話すのは現在、まりもとスクラーチの社長を務める笠井孝至さん(25歳)。
「まずは“まりも”での学生服などの売り方を教わり、少しずつですが、自分のやりたかったスケートボードショップをこの店の一角で開けるようになったんです」
前まりも社長の加藤勲さんは、この商店街で40年以上にわたり店舗を営んできたが、70歳を超えようとしていた3年前、店の存続について考えていた。
「私も高齢になり、商店街も同じように高齢化してきました。どうしたらお店を存続させることができるか。商工会などにも相談していたんです。そこで笠井さんを知りました。彼はスケートボードのショップをやりたいと。まりもの経営を任せ、若い人に後継者となってもらうことができるのは本当に望ましいことです」
40年続いてきた店舗は、こうして新たな道を歩み始めたのだ。いまでは遠くは兵庫県や和歌山県、滋賀県などからもお客さんが集まるようになった。
「スケボーって、年齢や性別に関係なく仲間になれる。このショップには幼稚園児から大人まで集まって一緒に練習するんです」
そう話すのは、2年前から笠井さんと仲良くなったスケートボード仲間の中澤克哉さん(21歳)。

事実、とある土曜日の午後、4歳児のみちとくんから、中学2年生のあやかさんまで10名近い子どもたちが集まってきた。みんな中澤さんたちに教えてもらうためと、ここに来れば仲間がいるからである。ある母親がこう言う。
「引っ越す予定を止めたんです。子ども3人がスケボーをやっていて、ここの仲間と離れたくないと懇願するので」
別のお母さんは、
「スケートボードを始めて、いろんな世代の友だちがいっぱいできたのは、本当にいいことだと思います」
団地商店街の一角で始まった若者によるショップが、若い人たちを呼び寄せる。聞こえてくる子どもたちの笑い声、近隣の居住者にもきっと届いているに違いない。

商店街のすぐ近く、団地外にある公園で練習。みんな本当に楽しそうに滑っている。
まだうまく滑れない子には、中澤克哉さんや大人たちが一から優しく教える。

【竹居鉄也=文、撮影】

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