街みちネット 第2回見学・交流会
| ■日 時 | 平成20年6月19日(木)14:00開始(13:30受付開始) |
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| ■場 所 | 大谷口地域センター(東京都板橋区大谷口2−12−5) |
| ■プログラム | |
| 14:00 | 第一部 見学会 |
| 1.開会の挨拶 2.大谷口上町地区住宅地区改良事業について 矢渕氏 【板橋区都市整備部市街地整備課】 3.現地見学に際しての注意事項等 〜移動〜 |
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| 15:00 | 4.事業地区内見学 5.改良住宅見学(概観のみ) 〜移動、休憩〜 |
| 15:45 | 第二部 交流会 |
| 《テーマ1》 事業に参加した権利者からのお話 村山氏 【大谷口上町地区協議会会長】 《テーマ2》 事業推進における合意形成の流れ・POINT、苦労した点等 松沼氏 【(株)LAU公共施設研究所】 |
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| 閉会の挨拶 | |
議事要旨
●第一部 見学会
1.大谷口上町地区住宅地区改良事業について
(板橋区都市整備部市街地整備課 矢渕氏)
<住宅地区改良事業について>
- 事業名は「大谷口上町地区住宅地区改良事業」 (以下、改良事業)である。東京都内で現在この 事業を行っているのは板橋区だけとなる。関東 地方では横浜で1件、あと関西でも行っている が、全国的に例の少ない事業である。
- この事業は「住宅地区改良法」という法律に則った ものであり、法が成立したのが昭和35年である。 戦後、昭和20年頃住宅が足りないということで バラックなどが数多く建設されたが、若干落ち着 いてきた昭和30年頃に住環境を整えていこうとい うことで「住宅地区改良法」が設立された。

<大谷口上町地区について>
- 大谷口上町地区は板橋区南部の川越街道の西側、環六と環七の間くらいに位置し、住市総(密集型)事業地区の一部となっている。
- 周辺には木造住宅が多いが、特にこの改良地区に関しては非常に小さい戸建が密集している。
- 地区内で高低差が6〜7mあり、この地区はちょうど谷の部分に位置している。
- 戦前は沼地で水が溜まっているような状況だった。現在でも少し土を掘ると水が出てくるという状況で、元々あった建物についても非常に地盤が悪いので、沈下で建物が傾いているという状況が多く見られた。昭和20年代後半くらいから埋立てされ、無秩序な造成が行われ建物が建ち始めた。昭和30年代後半〜40年代前半にかけて小さな建物がどんどん建てられた。
- 地区の東側が二項道路であり、そこから降りて行ったところが改良区域に入って行く通路になっている。 中に入ると幅員1.5mあるかないかの通路がずっと続いている状況である。
- 改良事業が導入される前のまちづくりに関するアンケートでは、賛成が平成5年で46%、平成7年で33%とそれほど多くない状況であった。
<事業計画の見直しについて>
- 当初は谷を埋めて二項道路を拡幅し一体的な整備を行う計画であったが、 平成10年度からはとにかくできるところを最小限で進めようという形で検討が行われた。
- 見直しの結果、谷上の地形を変えずに現状の地形を活かして地区内に生活道路を整備する、 道路を抜くことによって自主建替えも可能とする、地区内に必要な公的住宅を建設するということを踏まえて、住宅地区改良事業を導入することとなった。
<密集事業と改良事業の比較>
- 密集事業と改良事業を比較すると、下表のような違いがある。
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事業手法 住宅地区改良事業 密集住宅市街地整備促進事業 事業根拠 住宅地区改良法に基づく事業 国の要綱に基づく任意事業 事業内容 不良住宅の除却、
住宅の建設が義務付けられる。従前居住者のための住宅の建設 私権の制限 ・建築行為等の制限
・土地建物の収用等無し 効果と特徴 ・法に基づく事業で確実性が高い
・補助率が高い
・税控除は5000万円・任意事業であり、
地権者の意向が大きく影響
・税控除は1500万円財源(補助率) 国補助:2/3、都補助:1/6、
区費:1/6国補助:1/2、都補助:1/4、
区費:1/4
<密集事業と改良事業の比較>
- 平成10年に事業化方策検討調査を住宅・都市整備公団(現在のUR都市機構)に委託。
- 同年、学識経験者・国・都・機構で委員会を設置し、事業見直しについて検討を行った。 その結果、区は事業方針を見直し、住宅地区改良事業の導入に向けて、方針転換を図った。
- 平成11年に事業見直し方針地元説明、平成11〜12年に見直し計画地元説明、協議、平成13年に建物不良度測定、 意向調査、国・都協議、平成14年2月に板橋区都市計画審議会、平成14年3月に大臣改良地区指定、平成14年4月に事業計画告示、 平成18年8月に事業計画変更ということで進んでいる。平成13年に建物調査に入って、並行してこの1年間事業認可を進めていった。
<改良地区の概況>
- 従前は96戸中84戸が不良住宅であった。
- 改良地区の概況は下表の通りである。不良住宅戸数の割合が80%以上という要件がかなり厳しく、地区指定をかけるのは難しいため、 全国的にもそれほど数がないと思われる。板橋区でもこの事業が終わったらおそらくこの事業ができるような区域はもうないと思われる。
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項 目 大谷口上町地区の概況 地区指定の要件 改良地区面積 0.45ha 0.15ha以上 不良住宅戸数 84戸 50戸以上 不良住宅戸数の割合 87.5% 80%以上 不良住宅戸数の割合
(面積あたり)218.18戸/ha 80戸/ha以上 - 地区内の居住者の属性は、居住者の年齢は61歳以上が40%、世帯主の年齢は61歳以上が52%、 世帯人数は1人が26%、2人が34%となっており、高齢者が多く、1人もしくは2人住まいが多い。
- 土地・建物の権利形態を見るとAAA(土地建物所有者が居住)が13%と少なく、借地、借家の方が多い。主要な土地所有者は5名である。
- 意向調査の結果は、同意が83%と見直し前に比べてかなり同意の割合が上っているが、調査の回答率が84%であり、 回答もいただけない方の中には反対されている方が多かった。
<事業計画について>
- 事業を進めるにあたり、買取り、工事の順番を踏まえて地区を5地区に分け、順に交渉または工事を進めた。
- 最終的な整備計画では道路及び改良住宅1〜3号館を建設することとしている。周辺の自主建替えエリアは密集事業として別途進めている。 新設する道路の位置づけは、将来的には区道になるが、現在まだ道路の整備はされていない。建築基準法42条1項4号の指定を受けており、 建築基準法上の道路になっているので、自主建替えはもうできる状況である。
- 平成15年より事業地区ごとに順に買収、除却を進めてきた。住宅建設は平成15年に地区外にやよい住宅を建設し、 それから1、2、3号館を順に建設している。道路についても地区ごとに順に整備を進めてきており、 今年度これから残る1地区の道路工事が終わると、事業終了ということになる。
- 事業の進め方として、非常に込み入った権利関係になっており当初は境界がわからない状況であったため、 まずは境界確定、地積確定といった作業から始めていった。それから建物調査を行い建物の評価額を算定した。 建物については未登記の建物が非常に多かったため、買取りをするために登記の手続きをしていただくことが必要になった。 そして不動産の契約や借地権割合の提案、仮移転の手続き、税務説明、売買契約交渉等を行った。

2.事業地区内見学
●第二部 交流会
事業推進における合意形成の流れ・POINT、苦労した点等
<住宅地区改良事業導入以前の地区の事業の変遷>
- この地区でまちづくりが始まったのが昭和50年代で、当初は木賃事業(木造賃貸住宅地区総合整備事業)の前身である 過密住宅地区更新事業が一度入っているようだ。ところがなかなかうまくいかず、平成5年になると現在改良事業地区より 一回り広い5.3haの地区を対象にコミュニティ住環境整備事業のB型小規模連担地区という小規模な宅地を改善する事業が入った。 また、現在密集事業がかかっている75haの地区に同時期に都の木賃住宅地区整備促進事業が入り、 この地区は大きいエリアで建替え促進の木賃事業と、5.3haの中で公営住宅の建設による住環境整備が同時進行することになった。
- その後、コミュニティ住環境整備事業が総合住環境整備事業になり、木賃事業も変わってくる。 最後には住市総という1つの事業に統合され、そもそも目的が違う事業が複数入っていたのに、収束して1つの目的しかなくなってきてしまった。 平成5年から10年までくらいの検討の間、埋立ての計画を進めようとする中で、区の中でも混乱があったのではないかと思われる。

<コミュニティ住環境整備事業について>
- 埋め戻し計画についていくつかの案が検討されたが、擁壁で区切って工期を分け段階的に埋めていくという案で建設計画を取った。 地区計画図を見ると、地区東側の二項道路を8mに拡幅して谷地全部埋めて平らにし、そこにくしの歯状に接道を取って公営住宅を作るという計画になっている。
- 二項道路の拡幅については、公道がそこしかなく、他は通路になるため、拡幅すること自体が非常に難しかった。 実際には拡幅しないと工事車両も入れないという状況に陥っていた。
- 合意形成上の問題では、全部埋め戻す計画では賛成してコミュニティ住宅に入るか出て行くかという選択肢しかなく、 自己再建するという選択肢はなかったため、なかなか合意が取れなかった。
<整備計画の変更について>
- 平成10年度に区が、事業化方策の検討調査を都市機構さんにお願いした。 そこで我々も一緒になって検討を行い、平成11年に地元に事業見直し方針の説明を行った。
- 計画の修正変更の考え方としては、接道不良が残って自己再建ができない敷地が非常に多いため改良住宅を作るエリア、 自力更新ができるエリア、共同化を検討するエリアに分けることとした。
- 実際には平成12年度から本格的に地元に入った。その中で改良事業を視野に入れて計画に賛成するか反対するか、 改良事業に対する個別ヒアリング調査、あるいは意向調査を実施した。
- 平成13年には公営住宅の改善をもう少し強固にしようということで改良事業を導入して、75haの密集事業地区も事業期間切れになるので延伸をかけた。
<合意形成のポイント>
- 地区内の権利者100名程度の個人カルテの作成、個別ヒアリングの実施により情報をストックした。常に個別ヒアリング、個別懇談会を実施し、 その中で問題や意向を詳細に拾って、借地人さん、地権者さんとの信頼関係を築いたのが大きなポイントであると思う。
- 上町の成り立ち上、運命共同体の意識があった。大地主さん数名と多数の借地人さんがおり、 地主さんと借地人さんとで対応を分けながら進めるということもポイントだったと思う。
- 実情に沿った権利清算として上町の標準的借地権割合を設定した。また、借地清算の土地面積は、実際買うのは実測面積だが、 借地人さんを有利にするために借地契約面積で清算を行うなど、誰も損をしない権利清算の提案を行った。
- やよい住宅ができたことにより段階的な取り組みが目に見えるようになってよりスムーズに動くようになったというのもポイントである。
- 居住年数が長い高齢者が多いということで、老朽住宅の借地の家に住んでいればほとんど持ち出しの費用がかからないで済むのに なぜ家賃を払うような立場にならなくてはいけないのか、それが一番大きな問題だった。実際には、やよい住宅に10戸の方が転出して、 土地、建物を売ったその資金で死ぬまでここに十分住めそうだという見通しが立ち、合意につながったと思う。
以上

都市再生機構
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