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ぶらり南千住散歩
南千住は路地の街である

人通りの多い師走の商店街を少し脇道にそれると、
どこか懐かしさと郷愁を感じさせる世界が広がる。
そこには人々の生活が営まれ雨が降ってくると
ご近所から「雨だよ!」という大きな声が響く。
自転車すら通ることができない細い路地が幾重にも織り成す街、
南千住で思わぬ発見に出会えるかも。

都電荒川線が走る三ノ輪駅周辺は歴史と文化が息づく街。活気のある商店街には何件もの飲食店が軒を並べ、店頭で売られているコロッケやアンパンを頬張りながら一本裏の路地に入ってみる。やっと人が一人通れそうな路地を歩いていると思わぬところに小さな祠が・・・よくみると、まるで我が家のように居眠りしている猫がいたりする。そして各家の軒先には鉢に植えられた緑が茂る。その前を通り過ぎると夕食のお惣菜の薫りが・・・。気がつけばいつの間にか袋小路に迷い込んで行き止まりかと思うと更に細い路地があったり。迷路のような路地の先に何が待ち受けているのか?そんなワクワクした気持ちになれる街なのだ。 路地の街
下町に今も残るコミニュケーション。
心が通う街 まるで寄り添うようにして建っている住宅を歩いていると昔から変わらない製法で駄菓子を作っている「宇佐見製菓」がある。特に広告塔となるような看板を出していないため見落としがちだが製造元でありながら小売もやってくれるのがウレシイ。ここの名物は遠方からも求めに来るほどの“きなこ棒”だ。社長の宇佐見昌輝さんと奥さんを含めて7人で運営している工場は製品をひとつひとつ大切に作っている。「美味しいって喜んで食べてくれるお客さんの笑顔が一番」と語る奥さんと「健康に良いお菓子を作るためなら採算が合わなくても無理をしたい」というご主人。下町の人情と職人気質がこの街を支えているのがわかる。作り手と買う人の心が通じているから「ありがとう」の言葉が清々しいのだ。
お客さんの喜ぶ顔が一番の宝。
年末の活気溢れる南千住。
商店街の楽しみは、店頭で売られている揚げたてのコロッケや焼き鳥を熱々の内に食べること。ちょっと行儀が悪いかも知れないが歩きながら食べる事ほど楽しいものはない。人通りが多い時間は近所の公園まで我慢。
途中で「焼き立てだよ。買っていきな」なんて
声を掛けられる。まるで縁日に来たみたいな
錯角すら覚えてしまう。
南千住にはそういったお店が多い。
昭和が残る街 街の至る所にある懐かしい光景。建物であったり看板であったり。新しい建物が増えつつある中、時代に取り残されたように佇む昭和の風景。それは思わぬところに出現する。例えば駅に抜ける薄暗い通り道にお婆ちゃんが雑誌を売っている店とか、昭和初期に建てられた建築物だったりとか。博物館に行かなくても、ここに来ればタイムスリップしてしまうのだ。
和竿、鋏、べっ甲細工、提灯・・・南千住は江戸時代から職人の町であった。表通りを歩いているとガラス越しに職人たちの作業風景をかい間見ることもできる。素盞雄神社のお膝元、コツ通り商店街に明治30年より創業されている“大嶋屋提灯店”は南千住の神社で行われる祭事で使われる提灯を納めている老舗だ。三代目の石井一朗さんは今では数少ない江戸文字を書く職人だ。「俺が提灯に文字を入れるようになったのは40歳になってから。それまでは親父は決して筆を持たせてくれなかったね。だから技術は見て盗むのみ、後は何も教えてくれなかった」という通り二代目である父上が病で倒れてから筆を持ったという。「最初は祭りを仕切っている頭から、“まだまだだな”なんて言われ続けてたけど最近になってようやく、“お前の文字も様になってきたじゃないか”って(笑)。」今でも毎日が修行の繰り返しと笑顔で語る。 職人の街

年末の活気溢れる南千住を堪能したら歩いて夕暮れ時に隅田川に出る。
橋の上から見える川面に映る夕陽の向こうに広がる街を眺めると、
そこには江戸時代から明治・大正・昭和、そして平成の姿が広がっている。
地図を広げながら今度はどこに行こうか?
なんて次の散歩道を考えるけど、
本当は地図も持たずに迷子になるのが南千住の楽しみ方なのだ。

【取材協力】
(有)宇佐美製菓/荒川区南千住一丁目
 大嶋屋提灯店/荒川区南千住七丁目

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