これからのくらしを考える まち×アート
[前編]住民たちの思いが詰まった団地アート
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茨城県取手市にある戸頭団地の外壁をアート作品化するプロジェクト「IN MY GARDEN」。2013年よりスタートし、この夏、ついに完成しました。完成した全15作品のうち、前編として7作品をご紹介します。
団地の壁面に繰り広げられるファンタジーな世界
団地の外壁をアート作品にする「IN MY GARDEN」。このネーミングには、“団地の外壁は、そこに住む人や近隣の人にとって毎日見るものだから、自分の庭のように眺めて、その庭で起こっている不思議なアートを楽しんでほしい”という思いが込められています。作品を見ようと、茨城県取手市にある戸頭団地を訪れると、まず出迎えてくれたのが「Every morning」。戸頭駅近くにあり、このプロジェクトの顔ともいえる作品です。2面にわたって描かれているたくさんの扉は、見た人に「ドアの向こうにいったい何があるのだろうか?」というワクワクとした気持ちを抱かせます。このアートをはじめ多くの作品には、要所要所に突起物が使用され立体感のある仕上がりとなっていますが、それがまた、不思議な感覚を引き起こし、ファンタジーな世界へと誘います。
住民のお気に入りの場所が作品に
壁面のアートはすべて、団地や近隣に住む方々から寄せられた“戸頭団地にまつわるエピソード”をもとに、アーティストの上原耕生さんがイメージをふくらませて作り上げたものです。「Book climbing」「Sometime」「Cafe terrace」「ここだけのはなし」の4作品には、住民の方々のお気に入りの場所や空間が表現されています。たとえば「Book climbing」は、“近くにある戸頭公園で、本を読みながらゆっくり過ごすのが好き”というエピソードから着想を得たもの。図書館をモチーフにした様子が壁面に描かれています。「ここだけのはなし」は、“ある居酒屋さんでマスターやママと過ごした楽しいひととき”がテーマ。壁面の中でもちょっと分かりづらい、奥まった場所にあります。この情景の意味は…ぜひ作品近くに設置されている看板で、添えられているエピソードをご覧ください。
まわりの風景もアートの1ピース
周囲の風景もアートの一部に取り入れることで、壁から絵が飛び出しているような広がりを見せる作品もあります。「美しい住まい ― UR都市機構」は、壁面に描かれた水道管パイプから、隣に実在する電線へとつながっていて、まさに現実とアートが一体化したユニークなデザインです。“桜の季節が好き”というエピソードから生まれた「Every time」は桜の木の近くに描かれています。季節によって変わる桜の風情とともに作品の印象も変わるのが魅力。満開の桜の花が彩る春にぜひ眺めてみたいですね。
- [後編]
- アートのある団地に暮らす楽しみをみる
戸頭(UR賃貸住宅)
茨城県取手市戸頭4 ほか
1万人を超える人たちの暮らしがしっかりと根づく、ビッグコミュニティ。野鳥や昆虫が多く生息しており自然豊か。夏は近隣でホタルを鑑賞できます。
取手アートプロジェクト(TAP = Toride Art Project)
1999年より市民と取手市、東京芸術大学の三者が共同でおこなっているアートプロジェクトです。若いアーティストたちの創作発表活動を支援し、市民のみなさんに広く芸術とふれあう機会を提供することで、取手が文化都市として発展していくことをめざします。
HP:http://www.toride-ap.gr.jp/
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